実家の荷物を何とかしたい、親の身の回りをスッキリ片付けてあげたい・・そんな気持ちがあってもなかなか実現にこぎつけるにはむずかしい。なぜでしょう。
それは色々な不安を抱えているからです。
- 変える、変わることへの不安
- ”片付ける”イコール”捨てる””捨てられる”ことへの不安
- 自分の領域に踏み込まれることの不安
年を重ねると、毎日の現状が”変わる”ことへの抵抗はかなりあります。新しいことを受け入れるのにはそれ相応のエネルギーが必要だからです。だからこのままでいい、自分は何も不満や不便はないと思ってしまう。ある意味一種の思い込みとまで言えるかもしれません。
また年をとると片付けるということは”捨てる”という概念に直結します。もったいないという気持ちが大いに勝り、片付けへの第一歩がなかなか踏み出せません。
自分自身で片付けることが厳しい場合、人に手伝ってもらうことになりますが、自分のものに触れられる、自分の空間に人が入るということへの抵抗もあります。それがたとえ家族であってもです。ましてや業者さんや赤の他人にお金を払ってとなるとなおさらです。
ではどうすれば少しでも快適な暮らしを送れるようになるのでしょう。そのアプローチの仕方を3つのステップに分けて考えてみました。
3つのステップ
Step 1: 思いを探る
これはなかなかむずかしいStepです。なぜならかしこまったインタビューを行うわけにもいかないし、誘導尋問で導きだせるものではないからです。まずは普段の会話に注意して何に困っているのか、気になっていることは何なのか、居心地の悪さはないのか・・などの思いを探ってみて下さい。ふとした言葉の裏にヒントがあるはず。
例えば:
- 出かける時にカギを探してばかり
- 書類が色々来るけどよくわからない、大事な書類をなくしそう
これらは探し物が多い→つまり探し物がなくなればいい
- 調味料があると思って買ったきたらすでに買ってあったわ
- 圧力鍋を使いたいけど重くて引っ張り出せないわ
- いつも手前にある同じ服ばかり着てるわ
これらは在庫を把握していない、ものが多い→つまりモノを減らして在庫を把握し、出し入れを簡単にすればいい
- 自分に万が一のことがあったら、家の中のものはどうなるのかしら
子供たちに迷惑をかけたくないけど手をつけられない
そう、困りごとを探り、本人にも自覚してもらいながら共有することが大事なのです。このStepを踏まないまま一方的に片づけを始めたり、業者さんに頼んだりすると頑なに扉は閉ざされ、それが開かれることはまずないと言ってもいいくらいでしょう。それくらいこのStepは大事です。
Step 2:イメージしてもらう
”楽になる”というイメージ
数多くある不安を解消するために次のStepとして2つのことをイメージしてもらいます。その一つ目が”楽になる”というイメージです。ビフォアとアフターを比較しながら話をするとイメージしやすいかもしれません。楽になるイメージと言ってもさらに具体的に分けられます。
a. 身体的負担の軽減
片づけをしてモノが少なくなるとモノの出し入れが劇的に楽になる。そうなれば身体的負担が軽減される。だってかがんで取り出していたものが、スムーズに取り出せたり、奥のもの楽に取り出せれるようになるからです。格段に腰などに掛かる負担は減るはず。
b. 危険の回避
次に危険の回避。床にものが置いてあったり、出っ張りがあるとひっかかって転倒に繋がります。お年寄りには何よりも避けたい事態のはずです。このままだと”危ないよ”、転んだら大変という認識を持ってもらうのは簡単にイメージが伝わるでしょうし、大事です。
c. 精神的負担の軽減
精神面での負担軽減もあります。探しものをするということは精神的に負担を強いられます。出かける時に探せば、約束の時間、電車の時間に間に合わないとハラハラドキドキ。慌てると転んだり、違うものを失くしたり、ろくなことはありません。大事な書類であれば、出てこなかった時のことを考えると気が気じゃなくなる。だから探しものをしない余裕のある生活をイメージするのです。
d. 時間の節約
探しものを1日5分したとしましょう。1週間で35分。1か月で140分。つまり、ひと月に2時間以上を探しものにかけることになるのです。その探し物がなければ映画1本観ることができるかもしれないし、お友達とお茶する時間に変わるかもしれないというイメージです。
e. お金の節約
ラップ、トイレットペーパー、調味料などあるのに次から次へと買ってくる。着るものにしても黒いセーターを買ってきたら”あら、似たようなものを持ってたわ”ということもある。その無駄遣いがなくなれば随分とお金の節約になるというイメージです。
”楽しむ”というイメージ
2つ目のイメージは”楽しむ”という要素を入れて下さい。片付けをするというとどうしても”大変”というネガティブな印象を持たれがちですが、片付けをすれば人生をさらに楽しめるというプラスのイメージを持つことが大事です。
例えば家がスッキリすればお友達を家に呼んでお茶をすることができる、できた時間にオシャレをして外出できるなどです。多くのものに囲まれてコタツにこもり、一日中テレビを観ている生活より絶対に楽しめるはず。一朝一夕にはいかないかもしれませんが、そこまでイメージできれば片付けへの意欲が湧いてくると思います。
Step 3: 不安を取り除く
イメージしたあとはこれらの不安を取り除くことが肝心。3つ目のStepです。
この記事の冒頭で書いたように年を重ねると”不安”の要素が増えていきます。変える、変わることへの不安、手放すことへの不安、領域が侵害されることへの不安。不安の種類も強さも人それぞれですが少しでも不安を取り除くことによって片付けることに前向きになれるでしょう。
変わることへの不安は片付けたあとの良い面をイメージすることでかなり解消できるはず。では2番目の手放すことへの不安はどうでしょう。捨てると思うと”もったいない”、”まだ使える”、”高かった”という気持ちが頭をもたげてきますが、手放したあと捨てられるのではなく有効活用されると思うと手放しやすくなるのではないですか?
リサイクルショップ、ネットオークション、寄付、リフォームなど色々な提案をすることで気持ちが軽くなるかもしれません。(手放し方の参考記事はコチラ)
3つ目の自分の領域を侵害されることへの不安解消は少しむずかしいかもしれません。どれだけ片付ける側と信頼関係が築けるかに寄るでしょう。だからこそ最初の”思いを探る”ためのヒアリングが重要になってきます。
いかがでしょうか。何もむずかしく考えることはありません。とにかく快適に過ごしてほしいという思いが伝わればうまくいくはず。一つでもヒントになれば嬉しいです。
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