最近おもしろい本に出合いました。
「13歳からのアート思考」末永幸歩著 ダイヤモンド社 です。
ランキングの上位にいるので(2021年1月現在)すでに読まれた方もいらっしゃると思います。何点かの著名なアート作品を通して今までの観方だけではなく新たな視点から作品を見る、何もアートに限定したものではなくすべてのことに通じる”自分だけの”発想、楽しみ方を紹介するものでした。
なぜ片付けのことを書いているブログにそんな本を紹介するのか不思議に思われた方もいらっしゃると思いますが、私が驚いたのはそこに紹介されている”before、after、beyond”というカテゴリーです。
おなじみの”before” “after”
今や聞いたことがないという人がいないくらいおなじみになっているこの表現。実際、私もブログの他の記事で何度も使っているし、テレビのお片付け番組、バラエティ番組の変身コーナー、匠がリフォームするかの有名な家の増改築番組でもよく耳にしますよね。
手を加える前はこんなでした!がbefore。そして手を加えたらこんなに変わりました!がafter。
いずれも見違えるほどにその差が歴然としてご本人も周りもとてもハッピーな感じ。
でもどこかで何かしら違和感を感じていた私でした。
- 体重を減らして急にスマートになった人は今でもその体型を維持してるんだろうか
- ゴミ屋敷に暮らしていた人はちゃんとゴミを捨てているんだろうか
- 匠にリフォームしてもらった人は今でもスッキリと暮らしているんだろうか などなど
ちょっと意地悪な見方をすると
- ものすごくきついトレーニングをこなし、食事も制限された状態をいつまでも続けられるはずがない
- ゴミの山を目の前にして平気だった人が果たしてゴミをきちんと捨てる習慣まで身につくんだろうか
- 匠にリフォームしてもらった家はすばらしいが、自分たちが生活していた荷物を全部入れた場合、お披露目された時のようにスッキリ暮らせるんだろうか
と思っていたわけです。
“Beyond”という新たな視点
そこに登場した”beyond”という新たな視点。つまりbefore afterを通り越した新たな観点です。
beforeは文字通り何も手をつけない状態。
afterは何か手を加えて変化した状態。
そしてbeyondとはその状態をさらに通り越して自分なりに考えた状態 です。
このカテゴリーを知った時にはモヤモヤがすっきり解消した気分になりました。
afterがゴールではない
さて本来の片付けに戻ってこの”beyond”を考えてみました。
部屋が荷物で溢れているから片付けた、収納スペースの使い勝手が悪いから配置を変えてみた、断捨離を決意してゴミ袋分10袋を捨てた・・どれも素晴らしいことです。でもここまででは”after”止まり。ここで終わってしまうのは本当に自分にあった片付けとは言えないかもしれません。
自分にとって一番使いやすい、居心地のいい状態に持っていくことがafterの先の”beyond”ではないでしょうか。
それはどんなプロがオススメする状態よりも、居心地がよく長続きするはず。
特にbeforeとafterの落差が大きすぎると長続きさせるのには相当なエネルギーがいるでしょう。それなら少しずつそして目標を低めに設定すれば長続きできる方法を探せるのではないでしょうか。
beyondに向かうためのコツ
ではどうすればさらに自分にあった片付けができるか。それにはたった二つのことを意識すればbeyondの域に達することができるはずです。
1.自分を知る
今さら自分を知ると言っても片付けに結び付けるのはむずかしいかもしれないので以下の点を意識してみて下さい。
- 身体的特徴を考慮する
- 毎日の習慣を意識する
- 性格、クセを思い出す
片付けにおいては背が高い、低いによってどの棚まで届くかが変わってくるし、手の長さによってもどこに収納するのが一番楽かが決まります。腰痛持ちの人は全てをかがまない範囲に収めたいでしょうし、力のない人は高いところにモノを置くことは避けたい。左利きの人は同じ棚でも入れる場所が変わってきます。自分の身体の特徴や状態を知ることによって収納の方法も変わります。
次に毎日の習慣ですが、習慣こそはご自身、または家族にしかわからないこと。毎日、毎朝使うものは見た目は悪くてもすぐ手が届くところに置きたいし、例えばタオルをよく使う人であればタオル置き場は1か所ではなく家の数か所に置いておいてもよい。ご自身の習慣は”見た目”だけでは解決しないものです。
性格やクセも整理整頓を維持するために再認識しておきたいポイントです。例えばとても面倒くさがりな性格だとよく使うものを扉を開けた引出しの中にしまっておくと出し入れが億劫になり出しっぱなしになる。それならいっそのこと見た目よく外に出しておくという収納もありです。
外から帰ってきた時にどうしてもカバンと上着をその辺に置いてしまうという人は玄関にスタンドポールハンガーのようなものを置くのも一手です。やはりご自身にしかわからない点です。
2.目標をイメージする
二つ目に意識することは自分がどのような状態に持っていきたいかをイメージすることです。
- 台の上には何も置かないスッキリした状態にしたいのか。
- 完璧なスッキリさより、ある程度モノは出ているが使いやすさを優先するか。
- 趣味のモノを飾りたいのか。その場合、掃除は大丈夫か。
- 収納にどれだけ投資するか。多少お金がかかっても見た目を重視するかそれともできる限りお金をかけたくないか。
雑誌に出てくるようなスッキリした統一感のある空間を目指したり、趣味やこだわりのもので”見せる収納”を目指す人はそれなりにお金もかかるかもしれませんし、覚悟もいるでしょう。でもどんな場合でも自分が居心地がよい空間をイメージできるなら長続きするはずです。
最後に・・
ここまで色々書きましたが、一番のコツはまず小さな範囲から自分にあった状態を探すことだと思います。
例えば、台所でもいいし、洗面所、寝室でもいいです。今日はココだと決めたらその場所に立ってみて下さい。気になるところはないか、気になるところがあればそこをどうすればよくなるのかイメージすればいいのです。一気に変えよう!と張り切っておそろいの収納グッズを大量に買ってきたり、オシャレな家具を買ってみても大抵とん挫します。
まずは小さなところから始めてみて下さい。あなただけのbeyondを目指して・・
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